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ちょっとから口のコラムです。
 “モステントのファンの皆様へ” Back
今年モステントは完全に消滅しました。しかしもっと前に消滅したのかもしれません。

2002年よりモステントの名前は完全に消えてしましました。
15年間モステントを扱ってきましたが、モスの愛好家以上に私もショックです。
MSR名でいくつかの形はのっこていますが、これは果たしてモスのテントなのかと疑りたくなります。なぜならば、問題はMSRテントのラインナップです。
モステントのポリシーは従来機能しか追求しなかったテント業界に美しさと言うファンクションを付け加えたことなのです。事実、ニューヨーク近代美術館にも展示されているくらいの流麗な美しさが有ります。以降、アメリカのテントメーカーには多くの影響を与えました。ただ日本のテントメーカーでは依然として山家流の機能一点主義がこびり付いていて、進歩のないテントがはびこっているのが、非常に残念ですが。
MSRのラインナップの中に独特な流麗さを持っているテントがいくつ有るでしょうか。殆どが、ビル・モスが生きていたら、嘆くようなテントです。ビル・モスがモス社にいた当時のラインナップを見てみると、人により好き嫌いはありますが、一つとして駄 作は有りません。中には斬新すぎて1年で生産を打ち切った物もありましたが、決して駄 作では有りませんでした。MSRのラインナップを見てみるとつくづくモステントはなくなったのだと思います。形は同じでももはやこれは単なるモステントのコピーなのだと思わざるを得ません。これではマネの好きな日本の某メーカーと同じです。
しかし、冷静に考えてみると、ここに至るまでのかなり前にモステントは無くなっていたような気がします。
私の知っている15年前、メイン州のキャムデンにありましたモス社はビル・モスの離婚した奥さんマリリンが実権を握っていました。詳しくは知りませんが、マリリンはかなりの資産家の令嬢だったそうです。そこでビルはデザイン設計を担当していました。この間ビルは多くのキャンピングテントや定位 住型のテント、それに常設出来るサンシェードウイングを設計しました。私の記憶では最後のテントはシドニーではないかと思います。これはオーストラリアのシドニーにあるオペラハウスをモチーフに作りましたが、前から来る風に弱く、飛び出したポールが折れやすいと言うことですぐ生産が中止されました。形は最高でした。元々ビルは丈夫なテントを作る意志は余り無かったようです。快適に過ごせて美しいデザインのテントを望んだからだと思います。その後すぐビルはモス社を辞めました。
その後、マリリンは新しいデザイナーと共に多くのテントを作りました。非常に硬性の高い丈夫なテントが多くなりました。マリリンは10年ほど前よりキャンピングテント部門を分離してこれを売却するように望んでいました。8年前、REIがモステントを買収し、工場までシアトルに移しました。ここで多くの問題を持ったモステントの生産が開始されたわけです。輸入元もかなり神経を使ったシアトル製のモステントです。メイン州のキャムデン製と比べると明らかに劣っていました。値段もかなり安くなったのでユーザーにはそれほど影響が有りませんでしたが。シアトル製のテントは生産が中止になる一昨年までキャムデン製に並ぶ事が出来ませんでした。そして去年から中国生産に変わり、会社もカスケードデザインに移りました。今年よりカスケードの傘下のMSRブランドに変わり、現在に至っています。MSRテントが悪いのではありません、縫製に関してはシアトル製よりはるかに優れていますから。ただ、テンションデザイナーのビル・モスの思想が有りません。
そこで前述の何時消滅したかを考えてみたわけです。厳密に言えばシドニー迄がモステントであり、それ以降消滅したとも言えるかもしれませんが、それでは余りに馴染みが薄過ぎるので、少し緩和してキャムデン製までがモステントで、それ以降消滅したのではないでしょうか。これはあくまで私個人の意見ですが。
そこで、モステント愛好家の方々にお勧めしたいのは、オークション等でキャムデン製のモステントを探し、 現行商品と比べてください。そうすれば直ぐにビル・モスのデザイン思想と丁寧な仕事ぶりが理解できるはずです。
そこで。MSRのテントはモステントを少し継承していますが、モステントではありません。これはMSRのテントなのです。

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